『思い出のマーニー』見てきた

すごいよかったです。

原作を先に読んでおいたのですが、原作の方もとても良くて子供の頃に読んでいたら夢中になっていただろうなと思いながら読んでました。

その後予告編を見ると、原作のあのシーンやこのシーンがジブリクオリティで映像に! って感じでその時点ですでに満足感が出てきちゃってた感じあったんだけど、やはり実際に見ると尺があるのですごい幸せでした。

原作の雰囲気の映像化というところでは本当に申し分ない。湿っ地屋敷周辺の描写とかほんとうに綺麗だし、サイロ(原作では風車)もすごいこわいし、なによりマーニーがキラキラしてる。杏奈(原作ではアンナ)の「輪」の中に入ってこない感じもよく出てた。

ただ、ストーリーの構成については原作からアレンジしてるところがあって、おや、と思いました。なんだかんだ言ってこの作品の肝である「マーニーは何者なのか」という部分、それが明らかになってゆくタイミングや過程が改変されてたんですけど、原作側の構成に感銘を受けていたので、そこでこう来ちゃうかという感じはありました。

原作ではマーニーが居る前半と、マーニーが居ない後半が割ときれいに分かれてて、それだけ尺を使うからこそアンナの成長に説得力が出てる気がしたんですけど、そこを圧縮というか同時進行してる感じで、これだと唐突な感じにならないかなと思っていました。ただ映画には小説にない映像による説得力があるので差し引きゼロといったところでしょうか。原作でもすごく良かったマーニーと杏奈(アンナ)の別れのシーンもやはり映像でみてなおさら感動しましたしね。全部忘れたつもりでもう一回見てみたい。

時代・場所の設定変更について。原作が発表されたのは1967だそうで、その当時のイングランドを舞台としています。で物語のバックボーンに第2次世界大戦が少しだけ絡んでくるんですが、映画の方は現代の北海道が舞台ということで、その辺どうすんのかなーと思ってたけど、特に戦争には触れてませんでしたね。この辺、駿さんが監督するとまた違ったのかなと思いますが、別にその部分は特に入れなくてもいいところだと思うので全然問題無いと思います。

とにかく映像化としては原作へのリスペクトもたっぷり感じられたし、これ以上を求めるのは贅沢すぎると思います。米林監督グッジョブ。

しかしなあ、宮﨑駿、高畑勲の作家性が際立つ二作品の後で、そこまで尖ってなくても充分に良い作品になってるジブリはやはり底力あるなあと思うし、これからもコンスタントに作品を出してほしいと思いますね。宮崎吾朗監督のコクリコ坂からもよかったし またみたい。